大震災「私にできること」―「怒りをぶつけないで」 神戸新聞より
本日(3月18日)の神戸新聞のコラムに、「ジョゼと虎と魚たち」・「メゾン・ド・ヒミコ・」NHKドラマ「火の魚」などの脚本を執筆した、西宮市出身の脚本家渡辺あやさんが、「大震災 私にできること」の第1回目に、「怒りをぶつけないで」というタイトルで文章を書かれているのですが、その内容がとてもわかりやすく、暖かいまなざしをもった愛ある文章で、感銘を受けたものですから、紹介したいと思いとりあげました。
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16年前の阪神・淡路大震災を体験して、「その街のこども」というドラマを書きました。
でも私はなにかそこから確固たる真理を得て表現に至ったわけではなく、今まだ大いに迷い続けている一個人としての、その「迷い方」の一例を描いたにすぎません。
このような時に多くの方に語りかけるための賢者的なヴォイス(声)を私が持ち合わせているとは言い難い。それでも私が申し上げられるとしたら次のようなことです。
直接の被災者ではない私たちにできる最低限のことは、まず事態の対応に追われている方々を「安易に責めない」とうことだと思います。
人は「怒っている」ほうが状況に対して危機感を強く持っているように見えるが、決してそうとは限らない。
今回のような誰も経験したことのない非常事態に対し、最善を尽くしておられる方々に対して、傍観者である私たちが「怒りをぶつける」というのは、非常に配慮に欠けた振る舞いであり、慎むべきことだと思います。
まずは「感謝」ということが何より大切だと思います。つとめて「ありがたい」と思うこと、あるいは相手にそう伝えることは、単に倫理や道徳的な意味をはるかに超え、状況を、そして混乱の中にいる私たち自身の心と体を助けるのに、もっとも効果的な方法です。
「怒る」あるいは「責める」ことで何かが改善するようには、決して私たちはできていない。本当に有益なのは「感謝する」ことだと思います。
それから、被災され避難生活を送っておられる方々に申し上げられるのは、「とにかく体を特に足元を温めていただきたい」ということです。
下は乳児から上は70代までの家族の、その身体と精神の健康を20年近く観察してきた主婦として、このごろ特に強く実感しているのは、「足元を温めると、体と心は非常に安定する」ということです。
「足が温かい」という状態は、それだけでかなり心を楽にしてくれます。続けると風邪をひきませんし、体調も想像以上に改善されていきます。
どうかお子さんにも、寝たきりのお年寄りにも、靴下やズボン下をたくさん重ね履きなどさせて、冷やさないようにしていただきたいです。
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このような事態ですから、ほとんどの人が興奮状態にあり、ほんの少しのことで怒ったり、責めたりするということは、ありがちだと思います。しかし、例え怒っても、責めても、よかれと思ってしている行為であって、決して相手を憎んでの行為ではないと思われます。
けれど、できるならば自分たちにできないことをしてくれている人たちには、「ありがとう」という感謝の気持ちをもちたい。直接伝えることができなければ、心の中で「ありがとう」とつぶやけばいいのですから…。
その思いは、言葉では伝わらなくても、エネルギーとして伝わっていくのではないでしょうか?極論ですが、今人々に恐怖を与えている原発にもあるいは地震にさえも感謝することもありだと思います。ちなみに、私は乳ガンを体験して、生き方を始めとして様々なことを気づかせてくれたガンに感謝するようになりました。
また、足を温めることは、ガンを経験した低体温の私が毎日実行していることです。心と体はつながっているので、体を温めることは心を温めることに通じます。
体を温めて、心をゆるめリラックスしてゆとりをもって、日々を生きていく大切さを改めて認識しました。
もうひとつ付け加えるならば、一人では何もできない状況ですから、みんなと繋がって一つになって事態を乗り切るために、心を開いてオープンハートになることも大事なことだと思います。
私たちの本質は一つなのですから、怒っても泣いても離れることはできないのです。
このブログを読んでくださったみなさん、ブログを書く環境を与えてくださった方々、すべての生きとし生けるものに対して感謝の気持ちを禁じ得ません。
あ り が と う!!